令和3年報酬改定 介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進

処遇改善加算の職場環境等要件の見直し

【訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、訪問入浴介護★、通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、認知症対応型通所介護★、通所リハビリテーション★、短期入所生活介護★、短期入所療養介護★、小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護★、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護★、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】

概要

○ 介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について、介護事業者による職場環境改善の取組をより実効性が高いものとする観点から、以下の見直しを行う。

・職場環境等要件に定める取組について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取組がより促進されるように見直しを行うこと。【通知改正】

ー職員の新規採用や定着促進に資する取組

ー職員のキャリアアップに資する取組

ー両立支援・多様な働き方の推進に資する取組

ー腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組

ー生産性の向上につながる取組

ー仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組

・職場環境等要件に基づく取組の実施について、当該年度における取組の実施を求めること。

○ 介護職員等特定処遇改善加算について、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準の実現を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を行うとの趣旨は維持した上で、小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から、以下の見直しを行う。【告示改正】

・平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で、

・「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」とするルールについて、「より高くすること」とする。

サービス提供体制強化加算の見直し

【定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、訪問入浴介護★、訪問看護★、訪問リハビリテーション★、通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、認知症対応型通所介護★、通所リハビリテーション★、短期入所生活介護★、短期入所療養介護★、小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護★、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護★、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】

概要

○ サービス提供体制強化加算について、サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から、見直しを行う。

算定要件

特定事業所加算の見直し①

概要

○ 訪問介護の特定事業所加算について、事業所を適切に評価する観点から、訪問介護以外のサービスにおける類似の加算であるサービス提供体制強化加算の見直しも踏まえて、勤続年数が一定期間以上の職員の割合を要件とする新たな区分を設ける。

単位数

<現行>           <改定後>
特定事業所加算(Ⅰ)    → 特定事業所加算(Ⅰ)
所定単位数の20%を加算    所定単位数の20%を加算
特定事業所加算(Ⅱ)    → 特定事業所加算(Ⅱ)
所定単位数の10%を加算    所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅲ)    → 特定事業所加算(Ⅲ)
所定単位数の10%を加算    所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅳ)    → 特定事業所加算(Ⅳ)
所定単位数の5%を加算     所定単位数の5%を加算
_              特定事業所加算(Ⅴ)
_              所定単位数の3%を加算(新設)

算定要件

<特定事業所加算(Ⅴ)>

○ 体制要件(※特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)と同様)

・訪問介護員等ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施

・利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議の定期的な開催(テレビ電話等のICTの活用が可能)(追加)

・利用者情報の文書等による伝達、訪問介護員等からの報告

・健康診断等の定期的な実施

・緊急時等における対応方法の明示

○ 人材要件

・訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること

※加算(Ⅴ)は、加算(Ⅲ)(重度者対応要件による加算)との併算定が可能であるが、加算(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅳ)(人材要件が含まれる加算)との併算定は不可。

特定事業所加算の見直しのイメージ

介護付きホームの入居継続支援加算の見直し

概要

○ 介護付きホームについて、入居者の実態に合った適切な評価を行う観点から、入居継続支援加算について、「たんの吸引等を必要とする者の割合が利用者の15%以上」の場合の評価に加えて、「5%以上15%未満」の場合に評価する新たな区分を設ける。

単位数

<現行>          <改定後>
入居継続支援加算  ⇒  入居継続支援加算(Ⅰ)
36単位/日        36単位/日(現行どおり)
_            入居継続支援加算(Ⅱ)
_            22単位/日(新設)

算定要件

<入居継続支援加算(Ⅰ)> (現行と同じ)

○ 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為(※1)を必要とする者の占める割合が利用者の100分の15以上であること

○ 介護福祉士の数が、常勤換算方法で、利用者の数が6又はその端数を増すごとに1以上(※2)であること

<入居継続支援加算(Ⅱ)> (新設)

○ 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為(※1)を必要とする者の占める割合が利用者の100分の5以上100分の15未満であること

○ 介護福祉士の数が、常勤換算方法で、利用者の数が6又はその端数を増すごとに1以上(※2)であること

※1 社会福祉法及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為

①口腔内の喀痰吸引、②鼻腔内の喀痰吸引、③気管カニューレ内部の喀痰吸引、④胃ろう又は腸ろうによる経管栄養、⑤経鼻経管栄養

※2 テクノロジーを活用した複数の機器(見守り機器、インカム、記録ソフト等のICT、移乗支援機器)を活用し、利用者に対するケアのアセスメント評価や人員体制の見直しをPDCAサイクルによって継続して行う場合は、当該加算の介護福祉士の配置要件を「7又はその端数を増すごとに1以上」とする。(4(2)③参照)

人員配置基準における両立支援への配慮

【全サービス★】

概要

○ 介護現場において、仕事と育児や介護との両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定について、以下の見直しを行う。【通知改正】

・「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。

・「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

・人員配置基準や報酬算定において「常勤」での配置が求められる職員が、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合に、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算することで、人員配置基準を満たすことを認める。

この場合において、常勤職員の割合を要件とするサービス提供体制強化加算等の加算について、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合、当該職員についても常勤職員の割合に含めることを認める。

(参考) 医療従事者の負担軽減・人材確保について(平成28年度診療報酬改定)

ハラスメント対策の強化

概要

○ 介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策を求めることとする。

基準

○ 運営基準(省令)において、以下を規定(※訪問介護の例)

「指定訪問介護事業者は、適切な指定訪問介護の提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより訪問介護員等の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。」

※併せて、留意事項通知において、カスタマーハラスメント防止のための方針の明確化等の必要な措置を講じることも推奨する。

(参考)ハラスメント対策に関する事業主への義務付けの状況

・職場におけるセクシュアルハラスメントについては男女雇用機会均等法において、職場におけるパワーハラスメントについては労働施策総合推進法において、事業主に対して、事業主の方針等の明確化や相談体制の整備等の雇用管理上の措置を講じることを義務付けている。(パワーハラスメントの義務付けについて、大企業は令和2年6月1日、中小企業は令和4年4月1日から施行(それまでは努力義務))

・職場関係者以外のサービス利用者等からのハラスメントに関しては、

① セクシュアルハラスメントについては、指針において、男女雇用機会均等法(昭和47年法律第113号)において事業主に対して義務付けている雇用管理上の措置義務の対象に含まれることが明確化された(令和2年6月1日より)。

② パワーハラスメントについては、法律による事業主の雇用管理上の措置義務の対象ではないものの、指針において、事業主が雇用管理上行うことが「望ましい取組」のとして防止対策を記載している(令和2年6月1日より)。

※職場におけるセクシュアルハラスメント

= 職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの又は当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの。

※職場におけるパワーハラスメント

= 職場において行われるⅰ優越的な関係を背景とした言動であって、ⅱ業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、ⅲ労働者の就業環境が害されるものであり、ⅰからⅲまでの要素を全て満たすもの。

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ABOUTこの記事をかいた人

生活相談員を13年やってました。 今はケアマネの資格を持って、ケアマネの経験もあります。 生活相談員としての業務が長いので、そちらを記事にしています。