令和3年度介護報酬改定(医療と介護の連携の推進:令和3年1月18日時点)

基本方針を踏まえた居宅療養管理指導の実施と多職種連携の推進

概要

○ 居宅療養管理指導について、基本方針を踏まえ、利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、より適切なサービスを提供していく観点から、近年、「かかりつけ医等が患者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつなげる取組」を進める動きがあることも踏まえ、また多職種間での情報共有促進の観点から、見直しを行う。

基準・算定要件等

〇 以下の内容を通知に記載する

<医師・歯科医師>

・居宅療養管理指導の提供に当たり、利用者の社会生活面の課題にも目を向け、利用者の多様なニーズについて地域における多様な社会資源につながるよう留意し、必要に応じて指導、助言等を行う。

<薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士>

・居宅療養管理指導の提供に当たり、(上記の)医師・歯科医師の指導、助言等につながる情報の把握に努め、必要な情報を医師又は歯科医師に提供する。

○ 以下の内容等を運営基準(省令)に規定する。

<薬剤師>

・療養上適切な居宅サービスが提供されるために必要があると認める場合や、居宅介護支援事業者等から求めがあった場合は、居宅サービス計画の作成、居宅サービスの提供等に必要な情報提供又は助言を行う。

医師・歯科医師から介護支援専門員への情報提供の充実

 

概要

○ 医師・歯科医師による居宅療養管理指導について、医師・歯科医師から介護支援専門員に適時に必要な情報が提供され、ケアマネジメントに活用されるようにする観点から、算定要件である介護支援専門員への情報提供に当たっての様式について見直しを行う。

・医師:主治医意見書の様式を踏まえた新たな様式を設定。

・歯科医師:歯科疾患在宅療養管理料(医療)の様式を踏まえた新たな様式を設定。

※ 様式には、居宅要介護者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつながるよう、関連の記載欄を設定。

外部の管理栄養士による居宅療養管理指導の評価

概要

管理栄養士による居宅療養管理指導について、診療報酬の例も参考に、当該事業所以外の他の医療機関、介護保険施設、日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」の管理栄養士が実施する場合の区分を新たに設定する。

 

単位数

<現行>        <改定後>

なし     →    二管理栄養士が行う場合

             (2) 居宅療養管理指導費(Ⅱ)

             当該指定居宅療養管理指導事業所以外の管理栄養士が行った場合

            (一)単一建物居住者1人に対して行う場合

            (二)単一建物居住者2人から9人以下に対して行う場合

            (三)(一)及び(二)以外の場合

算定要件

○ 当該事業所以外の他の医療機関、介護保険施設、日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」と連携して、当該事業所以外の管理栄養士が居宅療養管理指導を実施した場合。

※ 介護保険施設は、常勤で1以上又は栄養マネジメント強化加算の算定要件の数を超えて管理栄養士を配置している施設に限る。

歯科衛生士等による居宅療養管理指導の充実

概要

○ 歯科衛生士等による居宅療養管理指導を行った場合の記録等の様式について、その充実を図る観点から、診療報酬における訪問歯科衛生指導料や歯科衛生実地指導料の記載内容を参考に新たな様式を設定する。

短期入所療養介護における医学的管理の評価の充実

概要

○ 介護老人保健施設が提供する短期入所療養介護について、医療ニーズのある利用者の受入の促進や介護老人保健施設における在宅療養支援機能の推進を図るため、医師が診療計画に基づき必要な診療、検査等を行い、退所時にかかりつけ医に情報提供を行う総合的な医学的管理を評価する新たな加算を創設する。

 

単位数

<現行>      <改訂後>

なし    →    総合医学管理加算 275単位/日(新設)

算定要件

○ 治療管理を目的とし、以下の基準に従い、居宅サービス計画において計画的に行うこととなっていない指定短期入所療養介護を行った場合に、7日を限度として1日につき所定単位数を加算。

・診療方針を定め、治療管理として投薬、検査、注射、処置等を行うこと。

・診療方針、診断、診断を行った日、実施した投薬、検査、注射、処置等の内容等を診療録に記載すること。

・かかりつけ医に対し、利用者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて必要な情報の提供を行うこと。

認知症グループホームにおける医療ニーズへの対応強化

概要

○ 認知症グループホームにおいて、医療ニーズのある入居者への対応を適切に評価し、医療ニーズのある者の積極的な受入れを促進する観点から、医療連携体制加算(Ⅱ)及び(Ⅲ)の医療的ケアが必要な者の受入実績要件(前12月間において喀痰吸引又は経腸栄養が行われている者が1人以上)について、喀痰吸引・経腸栄養に加えて、医療ニーズへの対応状況や内容、負担を踏まえ、他の医療的ケアを追加する見直しを行う

退所前連携加算の見直し

概要

○ 介護老人保健施設の入所者の早期の在宅復帰を促進する観点から、退所前連携加算について、現行の取組に加え、入所前後から入所者が退所後に利用を希望する居宅介護支援事業者と連携し、退所後の介護サービスの利用方針を定めた場合の区分を設定する。【告示改正】

○ 現行相当の加算区分については、新たな加算区分の取組を促進する観点から評価の見直しを行う。【告示改正】

単位数

<現行>

退所前連携加算500単位

改定後

入退所前連携加算(Ⅰ) 600単位(新設)

入退所前連携加算(Ⅱ) 400単位(新設)

算定要件

<入退所前連携加算(Ⅰ)>

イ入所予定日前30日以内又は入所後30日以内に、入所者が退所後に利用を希望する居宅介護支援事業者と連携し、入所者の同意を得て、退所後の居宅サービス等の利用方針を定めること。

ロ入所者の入所期間が1月を超え、入所者が退所し、居宅サービス等を利用する場合、入所者の退所に先立って入所者が利用を希望する居宅介護支援事業者に対し、入所者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて居宅サービス等に必要な情報を提供し、かつ、当該居宅介護支援事業者と連携して退所後の居宅サービス等の利用に関する調整を行うこと。(※現行の退所前連携加算の要件)

<入退所前連携加算(Ⅱ)>

・入退所前連携加算(Ⅰ)のロの要件を満たすこと。

所定疾患施設療養費の見直し

概要

○ 所定疾患施設療養費について、介護老人保健施設の入所者により適切な医療を提供する観点から、介護老人保健施設における疾患の発症・治療状況を踏まえ、算定要件や算定日数、対象疾患等の見直しを行う。

かかりつけ医連携薬剤調整加算の見直し

概要

○ かかりつけ医連携薬剤調整加算について、介護老人保健施設において、かかりつけ医との連携を推進し、継続的な薬物治療を提供する観点から、見直しを行う

単位数

<現行>

かかりつけ医連携薬剤調整加算125単位

<改定後>

かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ) 100単位(新設)

かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ) 240単位(新設)

かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ) 100単位(新設)

算定要件等

<かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)>

・介護老人保健施設の医師又は薬剤師が、関連ガイドライン等を踏まえた高齢者の薬物療法に関する研修を受講していること。

・入所後1月以内に、かかりつけ医に、状況に応じて処方の内容を変更する可能性があることについて説明し、合意を得ていること。

・入所中に服用薬剤の総合的な評価を行い、評価内容や入所時と退所時の処方内容に変更がある場合は変更の経緯及び変更後の状態について、退所時又は退所後1月以内にかかりつけ医に情報提供を行い、その内容を診療録に記載していること。

<かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ)>

・(Ⅰ)を算定していること。

・入所者の服薬情報等を厚生労働省に提出し、処方に当たって、当該情報その他薬物療法の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。

<かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ)>

・(Ⅰ)と(Ⅱ)を算定していること。

・6種類以上の内服薬が処方されており、入所中に処方内容を介護老人保健施設の医師とかかりつけ医が共同し、総合的に評価・調整し、介護老人保健施設の医師が、入所時に処方されていた内服薬の種類を1種類以上減少させること。

・退所時において処方されている内服薬の種類が、入所時に比べ1種類以上減少していること。

※それぞれ全ての要件を満たす必要。入所者1人につき1回を限度。退所時に所定単位数を加算

有床診療所から介護医療院への移行促進

 

ABOUTこの記事をかいた人

生活相談員を13年やってました。 今はケアマネの資格を持って、ケアマネの経験もあります。 生活相談員としての業務が長いので、そちらを記事にしています。