生活相談員の仕事として看取りの対応があります。ここでは看取りについて、生活相談員がどのように考え、お客さんと接していったらいいかを、説明していきたいと思います。
目次
看取りって何ですか?
「看取り」の意味が分からないという方も多いのではないでしょうか?
私は「看取り」という言葉を知ったのは、福祉の施設で働くようになってからです。
今でこそ「看取り」という言葉はだいぶんメジャーになりましたが、昔はあまり聞きませんでした。
おそらく病院で亡くなる方が多かったからだと思います。
看取りの意味は
病人のそばにいて世話をする。また、死期まで見守る。看病する。
apple辞書
辞書で調べたら、こういった内容の文章が出てきますが、福祉の場合はもっと別の意味があります
病人のそばにいて世話をするのは当たり前ですが、「医療による延命をせずに、自然に見守る」という意味があります。
死ぬことは悪いこと?!
昔の考え方で「死」は悪いことというのがありました。
しかし、人は必ず死にます。
最近は「死というのは自然なこと」というのが、普通になりつつあります。
未だに病院では、体調が悪いと点滴をするそうです。
特養でも体調が悪くなると、慌てて看護師さんが点滴を入れる方がいらっしゃいます。何で点滴したの?と聞くと、家族が来たときに何もしてないと思われたらいけないので・・・という答えが返ってきました。
今の時代でも「死」=「悪」と思っている方がいらっしゃるのですね。
利用契約の時に「看取り」の話をしましょう
生活相談員は、利用者が看取りの状態になってから、家族に「最期はどうされますか?」と聞いたのでは遅いです。
できれば、特養の利用契約の時に「看取り」について、必ず話をするようにしましょう。
「まだお元気なので、看取りの話をするのは大変失礼ですが、最期はどのように迎えたいですか?」とか「食べられなくなった時、胃ろうをして延命を望みますか?」とか「積立をしている葬儀場はありますか?」ということを聞いておきます
ここで大切なことは、この質問がファイナルアンサーではないということです。まだ先の話なので、まとまっていなければ、改めて意見を聞かさせてもらいますということを伝えましょう。
事前に看取りの話をしておけば、家族も万が一のことを考えますし、施設側も看取りになって慌てて家族に聞くということがないので、心にゆとりが持てます。
看取り状態になったら
看取りの状態になったら、まず主治医から、家族に説明をしてもらいます。そして、延命治療を望まれるかどうかを確認します。
看取り状態になると、体調が大きく変化します。
家族の方がびっくりしないように、あらかじめ説明しておきましょう。
- 全身の倦怠感が増す
- 呼吸困難(とても苦しそうに息をします)
- 尿量が減ってきます
- 意識が低下します
- 足の先fや手の先が、だんだん紫に変化していきます
- 匂いがきつくなってきます
家族の方は、こういった体調の変化が起こることを知らないので、状態を見て驚かれないように、事前に説明しておくようにしましょう。
また、こういった体調の変化が起こった時に、施設側はこんな対応をしますということも併せて伝えておくと、家族の方も安心されます。
まとめ
家族の方は入所したら、入所した時のイメージからなかなか変わることはありません。自分の親はまだ元気だと思っていますので、できるだけ早い段階から体調の変化を説明しておきましょう。
看取りに関しては、家族の方の心の準備が必要ですので、看取りになる前の話がとても重要になってきます。まだまだ看取りには早いと思っていても、心の準備は時間をかける必要があるので、タイミングをみて話をしておきましょう。
死にそうな状態になっているのに、何もしないというのは、家族の方も辛いと思います。「延命治療した方がよかったんじゃないか?」と悩む方もおられます。そんな方に寄り添うことも生活相談員には必要です。
生きていた時の思い出を話してあげたり、家族に看取られて、本人も喜んでおられるということを伝えて、罪悪感を家族の方が持たないような配慮も必要です。
これから生活相談員になられる方や、現在相談員をされている方の参考になればと思います。