「今の職場で働き続けるのは難しいかもしれない・・・」
そう感じている生活相談員さの方はいませんか?
毎日、利用者さんのために頑張っている生活相談員は、やりがいがある一方で、責任も大きく、心身ともに負担を感じることも少なくありません。退職という決断は、決して簡単なものではありません。
しかし、もしあなたが本当に今の職場で限界を感じているなら、無理に続けることが必ずしも良いとは限りません。
そこでこの記事では、生活相談員が退職を考える主な理由と、後悔しない円満退職をするために知っておくべきことを、具体的な事例を交えながら解説します。
この記事を読むことで
- 生活相談員が対象を考えるリアルな理由を知り、自分の置かれた状況と比較することができる
- 退職理由を正確かつ円満に伝えるための具体的な方法が分かる
- 後悔のない転職、再就職に向けて、気持ちを整理できる
ぜひ最後まで読んで、あなたの今後のキャリアについて考えるきっかけにしてください
生活相談員が退職を考える主な理由
生活相談員が退職を考える理由は多岐にわたりますが、ここでは特に多く聞かれる理由を5つご紹介します。
1.上司(施設長)との考えの違い
生活相談員の退職の理由で一番多いのが、上司との考えの違いです。介護観の違いも含まれます。
生活相談員が利用者のためを思って行った介護も、上司からしたら経費がかかったり、他の職員のことを考えて、厳しく指導することがあります。
2.相談員の仕事を教えてもらえない
生活相談員は基本的に施設に1人です。(介護保険法の介護老人福祉施設の基準で100人に1人配置というのが決まっているため)
前任者の生活相談員が辞めたり、他施設へ異動することにより、新しく生活相談員が選任されます。
そのときに、しっかり引き継ぎが行われず、中途半端な状態で仕事を1人で任されることになり、業務に対する不安と施設に対する不信感を募らせることになります。
そういった不安と不信感が解消されることなく、継続して勤務をすると精神的が苦痛がさらに大きくなります。
特別養護老人ホームで介護職員として働いていたBさん。長年生活相談員をしていた方が退職するということになり、次の相談員としてBさんに白羽の矢がたったのです。引き継ぎの期間が1ヶ月半しかなく、分からないことが多い中必死でメモをとり、業務が滞らないように、書類の作成や利用者との面談をがんばりました。しかし、1ヶ月半で教えてもらえることは限られています。感染症などの対応はどのようにしていいか全く分らず、他の職員や施設長も生活相談員の業務を把握していないため、誰も教えてくれなかったのです。心身ともに疲弊してしまい、退職を決め半年後に他の施設に転職しました。
3.給与・待遇への不満
業務内容の責任や負担が大きい一方で、給与が見合わないと感じる方も少なくありません。
昇給制度が整っていない、賞与が少ないといった待遇への不満も、退職理由の一つとなります。
入職するときは給与面はある程度妥協して就職しますが、やはり生活を切り詰めて、毎日生活しているとだんだん耐えられなくなってきます。
デイサービスで5年間勤務していたBさんは、利用者さんやご家族からの信頼も厚く、仕事にやりがいを感じていました。しかし、長く働いても給与がほとんど上がらず、賞与もわずか。同年代の他業種で働く友人と比較して、待遇の低さに不満を感じるようになり、給与水準の高いだ法人への転職を考え始めました。
4.職場の人間関係の悩み
これは事例1と同じような理由になりますが、介護職員とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、職場の雰囲気が悪かったりすると、大きなストレスになります。
生活相談員はコミュニケーション力が問われます。
利用者や家族、現場の介護職員、ケアマネ等、他にも多くの職種の方とコミュニケーションを取らなければなりません。
そのコミュニケーションが滞ってしまうと、仕事の成果も得られませんし、達成感も得られません。
そんな状態が長く続くと、精神的につらくなり、退職を考えるようになります。
5年間ショートステイの介護職員として働いていたDさん。施設長から相談員に挑戦してみないかと言われ、不安ながらも承諾しショートステイの相談員として勤務することになる。生活相談員としての仕事は初めてだったので、少しの失敗は周りの人も大目に見てくれたが、外部の人(家族やケアマネ)に対する失敗については、厳しく指導される。また、だんだん時間が経つにつれ、施設の職員さんのも、「施設の信用に関わってくるので、しっかり伝達をして欲しい」と叱責されることにもなった。もともと人と話をするのが得意ではなかったため、コミュニケーション力を要求されると、非常に苦しくなり退職に至った。
5.業務過多・残業の常態化
介護職員は体力的に大変ではありますが、3交代制や4交代制のため、基本的に時間が来れば、次の勤務の人に引き継げます。
ところが、生活相談員の場合は施設に1人しかいないため、交代がありません。
極端に言えば、100人の利用者からの仕事を1人で抱え込んでいるようなイメージです。
また亡くなった方がいると、夜中に利用者対応をしなければなりません。
昼も夜も関係なく、利用者や家族の対応を1人で行うというのは、さすがに業務過多でこれが理由で退職を考えてしまいます。
結婚を機に、夜勤のある特別養護老人ホームの介護職からデイサービスの相談員に異動の願いを出したが、空きがないという理由で、特別養護老人ホームの相談員となった。最初は慣れない仕事の中、熱心に取り組みお客さんからの信頼も得てきたが、残業が多い上に夜間トラブルがあれば、すぐに連絡が入って対応を強いられる状況となった。「家族との時間を大切にしたい」という思いから、退職を希望するようになった。
退職理由を伝える際の注意点
生活相談員の退職を決意したら、次は職場に退職の意思を伝えることになります。
この時、伝え方を間違えてしまうと、職場の人間関係が悪化したり、後々まで影響が残ってしまう可能性もあります。
円満退職のために以下の点に注意しましょう。
1.できるだけ早く伝える
退職する決意が決まったら、まずその意志を伝えましょう。
一般的には退職する日の1ヶ月から3ヶ月前までに、伝えるのが常識とされています。(退職の手続きとして、社会保険の解約に1ヶ月は必要になるためです)
また、介護施設の人員配置の問題や、業務の引き継ぎをする時間も考慮しなければなりません。
2.正直かつポジティブな言葉を選ぶ
退職理由は正直に伝えることが大切ですが、職場の批判や不満ばかりを並べるのは避けましょう。
- 正直かつポジティブな言葉を選ぶ
- 感謝の気持ちを伝える
- 引き継ぎは丁寧に行う
- 書面で退職届を提出する
仕事はある程度調整できる
介護士の仕事はある程度決まっていて、自分のペースで仕事をすることはなかなかできません。
ところが生活相談員の仕事は、自分一人でする仕事が多いので、順番もスピードもある程度コントロールできます。
この仕事は時間がかかるから夕方にやろうとか、今日は同窓会があるから、早めに仕事を切り上げようということもできます。
生活相談員のデメリット
生活相談員のメリットがあれば、デメリットもあります。
安易な気持ちで相談員になると、意外にも介護士の方がよかったと思ってしまいます。
相談員に応募する前にしっかり把握しておきましょう。
仕事の責任感が介護士よりも大きい
責任感が大きくなるというのは、よく分かると思います。
相談員が家族に利用の説明をして、相談員が家族と契約を交わすわけですから、「知りません」とはなかなか言えないです。
介護士であれば、勤務時間が来たら交代となりますが、相談員に交代はないので、トラブルが発生した際は、最後まで相談員が関わることになります。
生活相談員は上司の考えが優先される
生活相談員はそこそこ地位は高いのですが、トップではありません。
当然その上の上司の言うことが優先されてしまいます。
自分はこんな介護をやっていきたいとか、お客さんに対してもっとこんなサービスをしたいと思っても上司がダメと言ったら勝手なことはできません。
上司と仲良く仕事ができれば問題ないのですが、上司の考えに合わせることができなくなると、仕事はきつくなってきます。
上司のご機嫌を気にしながら仕事を進めるというのは、デメリットになります。
営業・売上・サービスを回せないとつらい
最近の高齢者施設は一般の企業も参加してきているので、高齢者の取り合いになることが少なくありません
都市部はまだ高齢者の数が多いので、利用できる施設を探すのが大変ですが、地方の施設になると逆転しています。
つまり、高齢者の数よりも利用できる施設の方が多いのです。
そうなってくると、相談員がケアマネジャーや病院の地域連携室に行って利用者を獲得しなければなりません。
居宅介護支援事業所と病院に自分の事業所のパンフレットを持って売り込みに行きます。
営業がどうしても苦手という人は、この相談員の集客でつまずくことが多いです。
上司からはベッドを埋めろとか、利用者の数を増やせと言われてプレッシャーに感じてしまいます。
営業が得意な人はどんどん顔をつないで、利用者を獲得して難なくできるのでしょうが、苦手な人はそうはいきません。
また、営業だけできても、サービスがうまく回せないのもよくありません。
利用者を獲得して終わりではなく、アフターフォローや改善することもしっかり聞いて対応しなければなりません。
こういったことが苦手な人は、生活相談員はちょっときついと思います。
やってる仕事のわりに賃金が安い
生活相談員の仕事は多岐にわたります。
介護職員の話を聞いて改善を行ったり、家族の人の相談に乗ったり、利用者の話もきかなければなりません。
さらにケアマネの要望にも応えるように、いろいろと段取りしていると、あっと言う間に仕事だらけになります。
また部署間にある「どちらでもない仕事」というのがあります。
そういう雑用的な仕事を請け負ったりもします。
さらに、利用者が急変して息が止まったりすると、必ず相談員が呼び出されます。
体調の悪い利用者がいると、朝から晩まで働くようになります。
私も本当に忙しい時は月に2回しか休みがとれない!ということもありました。
正直ここまで働くと、もらっている給料と比べてもなんとなく合わないなぁと思うことがありました。
この仕事のわりに給料が安いという問題は、どこの施設でも共通に抱えている問題でもあります。
介護職と相談員はどちらがいい?
これまで相談員のメリットとデメリットを介護職員から見た視点で説明してきました。
では介護職と相談員はどちらがいいのでしょうか?
私は介護職よりは生活相談員の方が楽しかったので、生活相談員をオススメします。
これも人によって違うのが正直なところです。
私の個人的な意見ですが、もし介護職をやっていて、「ほんとに介護は大変だ!」と思っている方は生活相談員は難しいかなと思ってます。
介護職から相談員に転職?
生活相談員のメリットとデメリットを見て、介護の仕事から相談員に転職してみようかなと思った方もいると思います。
他の施設に転職して相談員をするのもいいのですが、まずは自分の施設で相談員ができるか、聞いてみるのもいいでしょう。
生活相談員の求人を見てみましょう
「相談員」でindeedで検索すると、めちゃくちゃ出てきます。
広島市安佐南区で年収300万以上でという検索をかけるとなんと10件ありました。
募集案件は常にあります。
介護職応援プロジェクト実施中!介護・福祉の転職サイト『介護JJ』
生活相談員を経験した方がいいという理由
私は介護の経験もありますし、相談員の経験もあります。
介護職の方が考えることが少ないし、責任も相談員ほどないから、介護士に戻りたいなと思うことがあります。
でも相談員は全ての介護士が経験すべきだと思います。
その理由は以下の通りです。
外部と話すスキルが身に付く
介護士でも外部の人と話すことは有りますが、相談員の量とは比較になりません。
さらに介護士は高齢者と接することが多いので、高齢者との話が得意になりますが、相談員は業者や、家族、そしてケアマネと話す機会が多いです。
高齢者と話すのとは違って、要件を早く端的に伝える必要があります。
ダラダラと自分がしゃべりたいことをしゃべっていると、自分の言うことを誰も聞いてくれなくなります。
そんな会話を繰り返していると自然と、会話する力がついてきます。
施設内の調整が身に付く
施設内にはいろいろな職種が集まっています。
介護職員が知っている範囲は広いようですが、相談員にくらべたら狭いです。
介護職員が関わる人プラス、施設長や運転手、仕入れ業者、事務員、ケアマネなどが増えます。
栄養士と調整したり、機能訓練の人と調整したり、施設長とも話しをして調整していかなければなりません。
できるだけ多く職種の意見を聞いて、最善の答えを出す必要があります。
そして出した答えを、みんなに説明していかなければなりません。
もちろん怒られることもありますし、相談員の言うことを聞いてくれないこともあります。
そんな人達に出会った時に、どんなふうに接すれば聞いてくれるかとか、この言い方がいいとか、この言葉がいけなかったなど学ぶことは多くあります。
そんなコミュニケーションスキルを身につけていけば、さらに施設内での調整方法が身に付いてきます。
介護職員では経験出来ないほどのコミュニケーション回数がありますので、相談員は実践を積みながらスキルがどんどん上がっていき、成果にも結びついていきます。
キャリアアップにつながる
キャリアというのは、これまでどんな仕事をしてきたかを意味します。
転職希望の人の履歴書を見たときに、「現場で介護だけした人」と「現場と相談員両方経験した人」とを比べたら当然、相談員を経験した人が有利です。
面接する人も、「相談員を経験をした人なら、対人関係や施設内の調整、報告や連絡もできる人だろう!」と思って話しを進めます。
どの職業も同じですが、初心者にいろいろ教えるよりは、ある程度知っていて即戦力になる人を希望しています。
相談員はなれるチャンスがあれば、絶対経験をした方がいいと思います。
もしダメでもまた介護に戻ればいいだけなので、ダメでもともとと思って挑戦しましょう!
生活相談員の仕事とは?


- 利用者の利用開始や中止に関する書類作成(契約等)
- 利用者や家族への連絡やケア相談
- ケアマネジャー、他機関、地域との連絡・調整
- 施設内、事業所内の連絡・調整・スケジュール作成
- 介護職員の手伝い
- 施設見学者の接客業務、苦情対応
- 個別支援計画書の作成
- その他施設の営繕管理(電気の交換やトイレの詰まりの改修など)






まとめ
生活相談員は男性の方でも女性の方でもなることができます。
コミュにケーション能力がとても重要になりますが、普通の会話が普通にできれば、誰でもできると思います。
もちろん相談員になるための条件はクリアする必要があります。
介護士をやっておられた方は、その経験も十分活かすことができますので、ステップアップするためにも挑戦してみてはいかがでしょうか?
ショートステイ事業所に勤務していたAさんは、生活相談員としてショートステイの利用者やご家族と話しをしながら、利用者が安心して生活できるようにいろいろな関係機関と調整をしていました。そんな中、ある利用者がなかなか眠れないので、「眠れないときだけ眠前薬を飲ませたい」と思い、ご家族に頓服で処方してもらうように依頼しました。それを施設長が聞いて「眠らせる薬を家族に頼むとは何事か!」と怒ってきました。親切で言ったつもりが、悪い方向に受け取られ、働く意欲がなくなった。こういった状況が2回、3回と続いたので転職を決意しました。