事故を個々の能力のせいにする

福祉施設ではいろいろな事故が起こります

その事故のあとにどのように対応するかで、事故が続くか、事故が終了するかが大きく変わってきます。

人間のすることなので、事故は繰り返すなんて、よく言いますが、私は事故がなぜ起きたのかをあまり追求していないから繰り返すんだと思います。

この事故の本質は何なんだろうと考える事は難しいですが、とても重要だと思います。

そんな思いを込めて、今回の動画を作成しました。

事故を個々のせいにする

TikTok原稿

高齢者施設では、事故はつきものです。

転倒しないように、横でしっかり支えていても

転倒するリスクは常にあります。

事故がなぜ起きたのか?

深いところまで探る必要があります。

ある施設の、入浴介助をしている介護士さんの話しです

普段から入浴中は利用者から

離れてはいけないと言われています。

しかし、その介護職員さんは風呂上がりに行う

ひげそりを部屋に忘れてきたことを思い出して

部屋に取りに行ってしまったのです

その間に、利用者さんがおぼれて、

救急車で運ばれるという事態になりました

当然、その介護士さんは厳しく注意され、

事故報告書や、反省文を書かされてこの事故は終了しました。

ところが3日後に別の介護士さんが、

入浴中利用者から離れて事故が起きたのです。

そのことがあって、介護士全員にアンケートをしたところ

利用者から離れたことがあると答えた介護士が

5人もいたことが分かりました。

事故が起きたとき、単純にあいつが悪いとするのではなく

介護の仕組みが悪いのではないか?

あたりまえだと思っていることが

事故の原因になってるのではないか?

そう思って見直すことが重要です。

この動画で言いたかったのは、事故が起こったのを個人のせいにしたら危険ですよ!ということです

動画の説明では1人の介護職員が事故を起こしており、それに対して罰則を与えています。

施設側からすると、なんで利用者から離れるんだ!利用者のことを全く考えていない職員に対して、厳しく罰を与えようと思ったかもしれません。

しかし、介護職員さん側からすると、え?みんなやってるのに、たまたま私の時に事故になっただけなのに、なんで私だけ罰せられるの?と疑問に思ったでしょう。

以前リスクマネジメントの研修を受けたときに、「事故は氷山の一角」というのを教えてもらいました。

今回はたまたま事故になったけど、本当は毎日事故が起きていても、おかしくない状態だった。

それが、運良く事故になっていなかったというだけの話しなんです。

経営者や管理者は現場を見ていないので、事故が起きたら「けしからん」と言って、それだけに対処するだけです。

根本的な問題というところまでは、掘り下げて考えることができません。

事故に対しては、現場の人がしっかり考えて、何が原因だったのかを深く深く掘り下げる必要があります。

動画に対するコメント

いただいたコメント

事故を起こす人は大体同じ。危険と言う危機感や責任感がない。紙切れ書けばいいんでしょ!みたいな感じ。あたしは無理なんで離職しますけどね

コメントありがとうございます。

このコメントのように、どうしても「個人の問題」として考えてしまいます。

今回のは、個人で起こした問題ではあるけど、実は潜在的にそういう環境になっている場合が多いです。

事故になったからアウト、事故にならなかったからセーフというふうに、アウトとセーフに分けて、自分は「セーフ側」だと思っている人が多いです

セーフ側にいても、「アウト」になりそうなぎりぎりの介助をしていると、必ずいつかは「アウト」側になると思います。

もちろん、他の人はやらないのに、その人だけってこともあると思います。

そのあたりも、しっかり見極めて事故後の改善策を考えた方がいいと思います。

いただいたコメント

入浴介助は1人は絶対離れてはダメですね。何か起こるかもって姿勢で動かないと。浴槽内での発作とか起きると慌てますよね。

コメントありがとうございます。

こんなふうに頭の中に、絶対離れてはダメという意識が根付いているのはとてもいいと思います。

おそらく動画で説明した職場は「離れては絶対にダメ」という意識を、職員さんにしっかり伝えていないのだと思います。

そうでないと、ひげそりを取りに行かないと思います。

私は事務所で仕事をすることが多かったので、風呂介助はほとんど入ったことがありません。

しかし、人手不足で手伝った時に「離れたらダメ」と大声で何度も叫ばれてました。

頭で分かっていても、体にはそれが染みついていないんで、ついつい離れてしまいます。

私の職場はそれを見逃しません!

私はそのとき、これだけ「離れたらダメ」って言っている、だから、風呂の事故が自分の施設では起きていないんだなと思いました。

まとめ

いただいたコメントの中で、「離れるなんておかしいだろ」というのが本当に多かったです。

離れてはダメというのをしっかり教えておられる職場だと思います。

しかし、これすらちゃんと教えていない職場もあるのです。

考えたら分かるけど、現場に入ると、それがすっぽり抜けてしまって、目の前のことにのみ意識が向いてしまうというのが人間だと思います。

頭で意識しなくても、体に覚えさせるには相当な時間がかかります。

しかも、それは周りが気をつけて、しっかりと教えていくという環境が必要です。

事故が起きたときに個人のせいにするのは簡単ですが、その環境もしっかり考えるようにしましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

生活相談員を13年やってました。 今はケアマネの資格を持って、ケアマネの経験もあります。 生活相談員としての業務が長いので、そちらを記事にしています。