生活相談員が将来の高齢者施設を語る

平成も終わってこれから、令和の時代ダー!これから高齢者のために頑張るぞーと言いたいところですが、ちょっと待ったです。高齢者施設は正直言ってオワコンだと思います。

<これから高齢者は増えます>
団塊の世代がこれから高齢者になっていきます。昭和20年生まれの団塊の世代は今74才で、あと少しで後期高齢者になります。そして高齢者のピークが2025年〜2030年と言われていて、それからは高齢者は減っていくようになります。第二次ベビーブームの世代が残っていますが、団塊の世代に比べれば伸び率はそんなにないと言われています。

<高齢者が増えるのに施設はオワコン?>
団塊の世代がこれからピークを迎えるから、施設をどんどん作りましょう!とはなりません。いずれ、高齢者も数が減っていき、田舎にある小学校のように、6学年で5人しかいないというような状況になります。そう考えると、高齢者施設も、人数が集まらない時が必ず来ます。そうなると潰れる施設がたくさんできると思います。人口の少ない地域は新規に設立するのは危険です。

<介護士がいません>
高齢者がいずれ減っていくから、これから新規に設立するのは危険!という話しはもちろんありますが、それ以上に介護士がいなくなります。介護福祉士を育てる福祉専門学校に現状を聞くと、定員の半分しか生徒が集まりません。さらに、その中の半分は外国人だそうです。外国人は基本的に、母国に帰ってしまいます。つまり、介護福祉施設の定員の4分の1しか生徒が集まっていないことになります。

<健康福祉局から、定員は維持するように通告>
今どの施設も介護士不足です。介護士が集まらないから、施設が運営できない。施設が運営できない!ならば、定員80人を50人にしてしまえば、介護士もそんなに必要ないじゃないか!!!とみなさん思いつくようです。定員を減らす申請が何件か提出されたのだと思います。高齢者が増えているのに、定員を減らすとは何事か!と、健康福祉局から、定員を減らすのはダメだというFAXが各施設に送られてきました。

<介護士10年勤続で8万円>
そんな状況の中、ベテランの介護士に対しては給料が8万円プラスになるという施策を打って出ていますが、効果は出るのかどうか疑問です。新卒の人たちは、すぐに8万円増える訳ではないですし、「10年後」を意識して、福祉専門学校に入学するかどうか、私にはまだ効果は分かりません。

<高齢者施設が開設できない>
高齢者施設をせっかく作って、職員の募集をかけるが、介護士が集まらないので、開設できないという施設が何件かあります。これから就職しようという人達が、公務員でもなく、エンジニアでもなく、不動産業でもなく、介護士を選ぶ理由というのははっきり言ってありません。その地域に業種が多ければ多いほど、介護士を選ぶ人は少なくなります。それで施設に介護士が集まりません。

<施設が出来すぎている>
今は特別養護老人ホームだけでなく、グループホームがたくさんでき、サービス付高齢者住宅も出来ているので、高齢者の取り合いになっています。デイサービスもたくさん出来たので、高齢者の取り合いが始まっています。施設が出来すぎているせいもあって、どこの施設でも介護士が不足するという事態に陥っています。

<高齢者施設のこれから>
このような理由から、高齢者施設はオワコンだと思っています。施設を作っても介護士と高齢者の取り合いに勝っていかなければ、運営出来ません。たとえ、給料を高くして、職員を獲得したとしても、利用者から得られる料金は決まっていますので、職員の給料をまともに払ったら、運営がどんどん苦しくなってきます。給料を増やして、休みを増やしてなんとか職員を確保しようとどの施設も頑張っていますが、どこの施設も似たり寄ったりで、職員確保に繋がっていません。これからの施設は、「給料」「休日」「魅力」の3本柱が必要になるでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

生活相談員を13年やってました。 今はケアマネの資格を持って、ケアマネの経験もあります。 生活相談員としての業務が長いので、そちらを記事にしています。