生活相談員が困ること。デイサービス送迎のあるある

デイサービスは毎日お客さんが来ます。

保育園や幼稚園と同じように毎朝、家まで迎えに行って、家まで送って行きます。

ところがその送迎で、困ることを頼まれます。

それは

「帰りに病院に行きたいから、病院に送ってくれ」

という依頼です。

基本的には「ダメ」です

介護保険上での送迎の位置付け

介護保険上での送迎は

「利用者の家の玄関から事業所の入口まで」

となっています。

つまり、利用者がいくら「今日ここの病院に行かなければいけない」と言われても、こちらから送迎することはできないのです。

送迎してしまうと「白タク行為」となってしまいます

いくら利用者の満足度を向上させるためとはいえ、法令違反するわけにはいきません。

白タクが違法である法令上の根拠は、「道路運送法」という法律にあります。この法律において、いわゆるタクシー事業は「一般乗用旅客自動車運送事業」とされており、国土交通大臣の許可なくタクシー事業を行うと、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」という罰則が科せられます。

シェアしたくなる法律相談所より

ただし、通常の送迎ルートの途中で下車してもらうのは、特別にいいとされています。(地方自治体によって違いますので、各市町村に問い合わせて確認ください)

実地指導で何をみて、送迎の確認をするのか。

白タク行為をしていないかを、役所の人は「送迎記録」を見て確認をします。

送迎記録は法令で定められた作成書類ではありませんが、一人ひとりの送迎状況を記録に残さないといけません。

送迎の状況を確認する書類がないと、送迎をしたという事実が確認できないので、「送迎減算」の対象となります。

送迎減算の対象になると、今までの介護報酬から送迎減算分を市町村へ返還しなければいけません。

送迎の記録がないという事業所は早急に作るようにしてください。

送迎記録に書いてある時間については、デイサービスのサービス提供時間をチェックすることにも使われます。

サービス提供の記録としても見られるので、徒歩でデイサービスに来られた場合や、家族の送迎で事業所に来られた場合も、到着時間を必ず記録しておいてください。

職員が徒歩で、利用者の自宅まで迎えに行く場合は、職員が何時に出て、何時に事業所に到着したかも記録する必要があります。

当たり前のことですが、病院以外もダメです

病院に送ってもらうのがダメなら、スーパーに寄って帰りたいから、スーパーに送ってくれと言わるかもしれません。

当然ですが「ダメ」です。

「畑を見て帰るから、畑で下ろしてくれ」というのもダメです。

本人の強い訴えがあって、どうしても途中で下ろしてくれと言われることがあります。

「送迎ルートから大きく外れるわけではないし、途中で下ろすならいいか」という気持ちになります。

しかし、どんなに利用者に嫌われても、途中で下ろすのは危険です。

たしかに送迎ルートから外れるわけではないので、いいかと思うかもしれませんが、帰る途中で事故に合ったり、道に迷って、家に帰ることができなくなると、本当に大変な思いをします。

ひたすら謝って、家まで送るようにしましょう。

注意:迎えに行く家と送る家が違う場合があります。その時は契約書にその旨を記載しておきましょう。(これも自治体によって判断の基準が違います。)

まとめ

利用者が喜ぶならいいかと思って、病院に送ってあげたくなりますが、やってはいけない行為なので、生活相談員はしっかり覚えておきましょう。

私が生活相談員としてデイサービスにいたときに、一番困ったことが、この「送って欲しい」というものでした。

利用者本人や、家族が言ってきます。

その都度できないという説明をしますが、みなさんあまり納得してもらえません。

どうしようもなくなって、結局デイサービスにタクシーを呼んで、病院まで行ってくださいと言って、病院で家族が迎えるということを、何度もやってました。

これだと違反にはならないのですが、利用者一人でタクシーに乗って、どこかに連れていかれるというのは、とても不安だろうなと感じていました。

できれば安全な制度を作っていただきたいなと思う今日この頃です。

これから生活相談員を目指す方や、今生活相談員としてがんばっている方の参考になればと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

生活相談員を13年やってました。 今はケアマネの資格を持って、ケアマネの経験もあります。 生活相談員としての業務が長いので、そちらを記事にしています。