生活相談員は地域連携が大事と言われています。
しかし毎日の業務に追われて、なかなか地域と連携するような時間はないかと思います。
ここでは地域連携をすることを、書くのではなく、地域連携(コミュニティソーシャルワーク)についての基本的な言葉の説明を、紹介していきたいと思います。
目次
地域援助技術の定義
地域連携技術(コミュニティソーシャルワーク)とは、一人一人の生活を支えていく個別支援と、その人が暮らす地域の力を高めることです。
つまり、高齢者の「介護予防の体操教室」みたいなイベントを作って、それを地域の人達みんなで、行うようにするといった活動です。
もちろん個人の状態も把握して、地域で「介護予防教室」みたいなものがあれば、この方も参加できるのに、といった発想から発展していきます。
ただ企画をして、開催するだけじゃなく、開催のやり方や、道具、ネタ集めなどを地域の方に伝授して、毎月開催するようにしていくということです。
コミュニティソーシャルワークの概念
コミュニティーソーシャルワークの概念は、イギリスのバークレイ報告で発表されたようです
日本でもこの概念は翻訳されて発表されましたが、広がりませんでした。
1990年代後半になって大橋謙策先生が、定義を以下のように作りました
コミュニティソーシャルワークは、地域に顕在的に、あるいは潜在的に存在する生活上のニーズを把握し、それら生活上の課題を抱えている人々に対して、ケアマネジメントを軸とするソーシャルワークの過程と、それらの個別援助を通しての地域自立生活を可能ならしめる生活環境の整備や社会資源の改善・開発、ソーシャルサポート・ネットワークを形成するなどの地域社会に置いてソーシャルワークを統合的に行う活動である。
日本介護支援専門員協会
ちょっと何言ってるか、わからない、という感じです。
この定義の前半は、一人一人の個別支援について書かれています。
この定義の後半は、地域支援に関することが書いてあります。
コミュニティソーシャルワークとは、この前半と後半を、統合して行う活動のことです。
生活相談員として、利用者一人一人に、個別に支援を行っていくことは、重要な柱の一つです。
しかし、個別支援だけでは、その人の生活全てを支えていくことができません。
地域でその人を支えていくような「地域の力」を高める必要があるのです。
コミュニティソーシャルワークの例
コミュニティソーシャルワークの例を考えて見ようと思います
例:高齢者が1人暮らしで、認知症で自分の家がどこにあるのか、分からなくなる。
地域住民:分からなくなるのなら。高齢者施設に入った方がいいんじゃないですか?
(これはコミュニティソーシャルワークではありません)
地域住民:定期的に見回りをして、行方不明になっていないかを、町内会みんなで交代で行う。顔写真や自宅の場所を共有し、みんなで、1人暮らしの高齢者を支えていく。
(これはコミュニティソーシャルワークができている例です)
これには、地域住民の理解が不可欠ですし、住民の高齢者に対する意識も高くないと不可能です。
定義に戻りますが、一人一人の生活を支える支援と、地域の力を高める支援を行い、二つを結びつけることが必要です
まとめ
生活相談員は介護支援専門員ではないので、そこまで深く地域援助技術は必要ないかもしれませんが、上に書いた例のように、介護保険を使わなくても、本人や家族が安心して生活を送れるように支援することはとても大事です。
デイサービスやショートステイで送迎したあとは、家族さんでなんとかしてくださいと、そこで切るのではなく、その後の暮らしは大丈夫かな?
ひょっとしたら、近所の人に声をかけておいた方がいいかな?と一度考えて送迎してみることも重要だと思います。
生活相談員の範囲を超えているかもしれませんが、これから求められることだと思いますので、参考にしてみてください。